日々のぼやき

No.1127

2000字くらいの抜粋ですけど、えろしーんはこんな感じですね今のところ#R18

「ぁ…、もろ、ぼし…っ」
「もうイきたくてたまらないって感じ?」
 認めたくはないが、そのとおりだった。早くしてほしい、という気持ちを込めてあたるを見つめる。あたるは苦笑した。
「そんな顔してもだめなもんはだめ」
 ちゅ、と面堂の眦に軽くキスして、あたるはまた面堂の弱いところをかすかに力を込めてぐりっとこする。
「うあぁ…っ」
「面堂、もすこし力抜ける?」
「ぁ、な、なに…?」
 あたるは面堂の太ももから中心に向かって指先を這わせた。そんな小さな刺激でも今は気持ちよくて、ぞくぞく、と腰が震える。
「んんっ……」
「このへん……足とか、腰のあたり。おれがさわってても、くたってしたままにできる?」
「……なぜ、そんなこと」
 それはいささか妙な要求だった。普段ならあたるが急にそう言いだした理由をちゃんと追求したに違いなかったが、あたるがそっと持ち上げた面堂の太腿に優しくキスを落としたせいで、何かを考えることなどとてもできなくなってしまった。
「あ、ぅあっ……」
「できたら、イかせてやるよ。もういい加減イきたいだろ?」
 ちゅ、ちゅ、と音を立てて、あたるの唇が太腿を滑って中心へと向かっていく。その湿った柔らかな感触がどうしようもなく気持ちよくて、ふ、と近くまで来たあたるの吐息がそこにかかった瞬間身体が芯から震えてしまう。
 こうなればもう選択肢などなかった。ともすればかくかくと緊張してしまいがちな足腰から、意識してふっと力を抜いていく。くたりと横たわる面堂にあたるが触れて、一瞬びくっと太腿が跳ねたが、弛緩した状態を保った。
「ちゃんとできたな」
「っ、ふ…」
「そのまま、力抜いとけよ」
「ん……ッ」
 そこからあたるの手付きが変わり始めた。甘い砂糖漬けのような快感を延々と与えるのではなく、小刻みに早くなったその動きは、少しずつ面堂の快感を上へ上へと高めていく動きだった。
 やっとイかせてもらえる、という期待に、胸が甘く鼓動を打って、ぞくぞくするような興奮が血液とともに体を巡り始める。くちくちといやらしい音が、湿ったそれに絡みついて感覚を支配した。
「は…、ぁ、んあ…ッ」
「そろそろイきそ?」
「ん、ん……っ」
 こくこくと必死になって頷く。もう一気にイかせてくれてもいいのに、ここまで来てもあたるはまだ焦らすようなゆるやかな手付きでしか面堂のものを扱いてはくれない。目の前に迫った快楽が早く欲しくて、面堂は無意識に腰を揺らして、あたるの手に自身を押し付けていた。あたるがくすっと笑う。
「えっちな動きしちゃって……」
 最後に、あたるの手のひらが先の方を包み込み、そこから全体をひねるようにしてこすりあげた。円を描くようにそこを刺激する動きと共に、身体の快感が急激に高まっていく。
「っあ、うぁ……♡」
 ようやくイける――面堂が待ちかねた快感に身を委ねようとしたときだった。
 射精を迎える直前で、あたるの手がぱっと面堂から離れた。
「え…なっ、あ…ッ?」
 突如として刺激を失い、高まるはずの快感がふっと途中でかき消える。だが身体の反応だけはいまさら止まらなくて、ぞくぞくしながら面堂は『それ』を味わう羽目になった。全く勢いのない射精、先端からとろりと精液がこぼれるだけの射精。そこから面堂の味わった感覚はとても『絶頂』とは言い難いものだった。とくん、とくんと、心臓の鼓動に合わせてゆるゆると溢れる精液は、じんわりと甘ったるい快感をもたらしてはいる。だが、あれだけ焦らされ続けた今の面堂が待ち望んでいたのは、そんな生ぬるい快感ではなかったのだ。
「な、なんで……」
 あと少しのところで満たされなかった欲を持て余し、じわりと涙を浮かべ、面堂は当惑しながらあたるに目を向ける。
 あたるは実に楽しげに、にっこりと笑みを浮かべて面堂を眺めていた。
 ――こいつ、わざとやったな……。
 面堂はあたるをきつく睨みつけた。
「おまえは相変わらず人の嫌がることに関しては天才的だな……」
「そりゃどーも!」
 今日に限ってあたるが面堂をさんざん焦らし続けた理由がよくわかった。本当に、あたるのやりそうなことだ、今の今まで目論見に気づかなかった自分に腹が立つ。
 だが、同時にこちらは文句を言える立場ではないこともよくわかっていた。たとえあたるがセックスの際に悪意を持ってどんなことをしてこようとも、面堂自身はそれを受け入れて何もしないというのがあたるとの約束だったからだ。
 今感じているやり場のない感情が怒りなのか欲求不満なのか、もう面堂自身にも判別できなかった。どちらにしろ、身体の中をぐるぐる巡る熱はそう簡単には消えそうにない。面堂はぎゅっと自身の肩を掴んで、いまだじんじんと甘く疼いている腰の感覚からなんとか意識をそらそうとする。
 するとあたるが面堂の顔の横に手をつき、覆いかぶさるようにしてかがみ込んだ。
「よし、じゃ〜とっとと二回目行こうか」
「……二回目?」
「そ〜だよ」
 面堂は信じられない気持ちであたるを見上げた。
「本気で言っているのか?」
「もちろん!」
 あたるはにっこり笑った。みんなの前で面堂を暗くて狭い場所に突き飛ばすときと同じ種類の微笑みである。
 そして、冗談ではないという言葉通り、面堂の腰をするっと撫でてから、あたるはまたそこに手を伸ばした。あたるの手がそこに触れた瞬間、びくりと面堂の身体が跳ねる。
「っ、うあ……!」
「おまえだってまさかこれだけで終わりとは思ってなかったろ」
「それは……そうだが…っ」
「なら、とっとと覚悟決めておれに付き合えよ、面堂」
「んん…っ…」
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あた面